• COLUMN
  • オーガニックな在り方デザイン・畑で考え学ぶサロンを通じて巡り逢った仲間たちが織りなす世界観

「住まう」と「旅する」の間の体験から

「住まう」というと、そこに暮らす、根を下ろすといった感じで、日常をイメージします。
「旅する」というと、訪れる。
なんとなく、日常から離れて、非日常を味わう感覚でしょうか?

 

旅は好きです。
でも、今回は『住まう』でもない、『旅する』でもない。
その間にある体験のことを書いてみようと思います。

鞄作家をしていた頃、当時は「地元で鞄や雑貨を販売するのは難しいんじゃないか?」
「ファッションやアートを仕事にするには、東京」と思っている自分がいて、
活動の拠点はほぼ東京でした。

時々開催する展示や個展では、渋谷や高円寺、西荻窪。十条や谷中と、
都内のいろいろな場所を訪れました。
開催期間は2日から、長いものだと一週間くらいあって、その街に通い、自分がそこに住んでいる気分で
街の生活感や空気感を感じるのが密かな楽しみでした。
特に高円寺、西荻窪、十条や谷中などは、私の地元のどこか錆びれた商店街と違って、活気のある
商店街があって、街で生活する人の日常を垣間見たり、ランチを買ったり、晩ごはんを食べてみたり。
そこに住まう、展示スペースのオーナーさんの話を聞いたりして、それぞれに違う
街の雰囲気を感じるのが、本当に楽しかった。

そんな中、展示だけではなく、定期的に作品を見て貰える場所を求めて飛び込んだのが、
北鎌倉にあるシェアアトリエたからの庭でした。
築85年以上の古民家と、陶芸の窯、井戸を活かし、再生させた自然に囲まれたその場所は、
鎌倉らしいライフスタイルを体験できる素敵な場所で、ギャラリースタッフとして週一回のペースで
通っていました。
その当時は、藤沢や、鎌倉在住の人がほとんどで、遠くから参加しているのは私
(ともう一人?)くらいだったかと思います。
普段はそれぞれ活動しているけれど、庭の落ち葉清掃などの恒例の作業会があったり、
マルシェ的なイベントがあったり、みんなでこの場所を大切に守って、作りあげている感じと、
東京ほど早くないゆったりとしたペースで、古いものを大切に、新しいものをうまく取り入れる
バランス感覚やセンスに感動しました。
みんな地元鎌倉を愛している感じが「なんかいいなー。」と、今でも大好きな場所です。

そして、子育てを機にライターや物作りを通して、自分探しで飛び込んだ、横浜の青葉区にある
webメディア森ノオト。
地域や人とのつながりを大切に、その地域の人や良いものを再発見したり、身近な暮らしから小さな一歩を
ふみだす背中をそっと押してくれる。
情報の発信はwebだけれど、その地域のママたちが日々の暮らしや地域に関心を持って作り上げている
手作り感や、その積み重ねが地域を巻き込んで、街づくりにつながっている感じが本当に素晴らしくて。

どちらも、自然や今ある大事なことに目を向けて、大切にしている魅力的なコミュニティーで、そこの人々と
関われるのが楽しくて、いい刺激をたくさん頂き、今でも会えば自然に迎えいれてくれる人たち。
でも、自分はいつも少し遠くからお邪魔するばかりで・・・という感覚に、ここ最近はどこか
寂しさを覚えるようになってきていて・・・。
素敵な場所はたくさん見てきたけれど、「私のホームはどこ?」と
今まで外へ外へと向かっていた気持ちが、暮らしに寄り添うようにだんだん近くになり、
「私も自分が『住まう』地元で何かできないかな。」と思うようになりました。

旅で非日常を味わうのも好きだけど、
以前、面白いなと感じていた、それぞれの街の人々の日常や街の雰囲気。
さらに一歩踏み込んで、関わる人々の日々暮らす姿から、めぐり巡って自分の在る場所に
思いを馳せる、今日この頃。

 

投稿者プロフィール

末田千鶴
末田千鶴
台所(食)から循環する暮らしをデザインする【 tane*to wa 】主宰。

日々の雑貨・小物デザイン&製作。
腸キッチン学アドバイザー。

自身や子どものアトピーやアレルギーをきっかけに、食のこと・体のこと
に関心を持ち、東洋医学や腸キッチン学を学ぶ。
「人が豊かに暮らすには?」を探求する中で、「土」や「日々の暮らし」の大切さに気づく。

キーワードは『台所』と『五感』
日々の暮らしでできることをモットーに、コツコツと
”自身の心と体。そして土を育む暮らし” の種を蒔きます。

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