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【ハタサロの農トレ】 資材や道具は最小限! リジェネラティブな家庭菜園をご自宅でコーチング。

当記事を読む前に読むと理解が深まります。→ 家庭菜園の土作り

自然に寄り添うリジェネラティブな暮らし。「家庭菜園は、副産物こそが愛おしい!」

ハタサロが目指しているリジェネラティブ農業は、収穫だけでなく土壌の修復、改善を目的としているため、化学的に合成された農薬や肥料は使用しません。緑肥や自家製の堆肥で土壌有機物を増やして、より豊かな自然に近い状態での栽培を心がけています。
また、在来種固定種の種を植えて、種採りまで行い循環させることが、最終的に費用を抑えた自給自足が叶うと考えています。

今回、ハタサロメンバーである岩田真理子さんは、ご自宅のお庭で自然栽培を実践することを決意。まずは、ご自身で菜園にする場所を決めてレンガで囲いをしていただきました。
この状態から、ハタサロの畑コーチ・長谷川晃さん(以下、ハッセコーチ)による毎日の個人指導が始まります。

ここまでの経緯はこちらをご覧ください。「リジェネラティブなスタイルの農業、在り方を目指すハタサロが提案。ご家庭で自然栽培を実践する”農トレ”がスタート。」

まず場所を決めて、土の状態を確認する

真理子さん
この庭では母が長年、情熱の赴くままにお花を育てています。プロの庭師は入ったことがないんですが、土の状態は大丈夫でしょうか?

ハッセコーチ
土は柔らかく水分もよい感じです。お母さまの功績でしょう。少し掘っただけで、たくさんのミミズが元気に跳ねています。

ここを見れば一目瞭然。団粒構造のある土を見極める簡単な方法とは?

「団粒構造」とは、活発な微生物の働きによって作られる団子状の土の集まりによって構成された土壌のこと。微生物の排泄物や粘液などによって土の粒子が集まることで出来る団粒の隙間には、水や空気が含まれ、水分、酸素、栄養分がたっぷりと蓄えられます。見た目は黒っぽく(微生物によって分解された有機物の色)触るとふかふかしています。土を軽く湿らせて手で強く握り固めたものをほぐすと、ほろほろと崩れるくらいが理想です。

土をチェックするときよい指標になるのは、ミミズが居るかどうかです。ミミズは土の中の有機物を食べて、その分解物と土を含む糞(腐葉土)を排泄し、土壌に穴を掘り空気や水を通りやすくするなどの役割を果たしてくれるからです。つまり、栽培に最適な団粒構造のある土を実現してくれます。

ハッセコーチ
場所を決めたら、まずは20~30cmほど掘り起こして土の様子を観察しましょう。地中のゴミや砂利などを取り除きます。雑草の根は微生物の住処となりますので、断ち切ったら捨てずにそのまま残しておきましょう。

真理子さん
うちの場合は前に植えた球根がたくさん出てきます。これは芽が出てしまうので取り除いて他の場所で育てましょう。

土壌酸度を測定します

自然環境に負担をかけない酸度調整法とは?

土の状態を的確に把握するために、土壌酸度、土の温度、水分量を測定器で測ります。
* 【ハタサロの農トレ】では、土壌分析のために土を持ち帰り、窒素、リン酸ほか、野菜が養分を吸収できる土壌なのか調べます。最終的に野菜が十分な養分を吸えるようにご指導してゆきます。

ハッセコーチ
自然栽培の場合は、苦土石灰など化学的に合成された資材を使わずに土を豊かにしてゆきます。
日本は酸性雨が降るため、土が酸性に傾きやすいと言われていますが、土壌が酸性に傾くことで雑草(なかでもスギナ)が繁茂し始めます。スギナは成分的にカルシウムを沢山含有しているので、土壌は酸性からアルカリ性へ中和されていきます。つまり、スギナは天然の中和剤のようなものなのです。

自然の働きによる中和作用は劇的な変化を強要をせず、土壌に適度な栄養を与えてくれます。土壌改善も含めて栽培を望む場合は、自然の土壌調整能力や回復力にゆだねることが賢明です。

真理子さん
スギナを雑草として摘まないこと。植物の根は微生物の住処になるのですね。酸度に強い植物を栽培したり、自家製の堆肥や緑肥を使って土壌を整える方法もハタサロで教えていただきました。

ハッセコーチ
一般的に、雑草が増えると温度が上がって病気や害虫を発生させたり、野菜に日が当たらず生育が悪くなると言われていますが、雑草は栽培の敵ではありません。むしろ、雑草は自然界の中和剤。酸度の高い土壌を整え豊かにしてくれるのです。

粘土質の土の改善法

お庭は通路として長年踏み込まれているので、固く粘土質になっている場合があります。土が固いということは、微生物が住みづらいということ。まず、1回掘り起こしてみて、赤土があるかないかなどの様子をみて、それぞれに対応してゆきます。

ハッセコーチ
一般的には1回耕して土に空気と水を入れてあげて、緑肥を撒きますが、それでは時間がかかりますね。「今すぐ栽培したい。」「小さなお子様と育てたい。」というかたは、上げ床にして固い土の上に土を重ねる方法が適しています。

上げ床の作り方は、固い土の上にそのままレンガやブロックなどを適度な高さに積み、土を投入するだけです。土は育てたい植物に適した土を黒土、堆肥などを混ぜて作ります。土作りに関しては、畑もプランターも同じです。

真理子さん
練り床(土を作る作業)は料理に似てますね。何回か実践するうちに「ここだ!」っていう瞬間がわかって楽しくなる。

ハッセコーチ
赤玉土(小粒)と黒土、完熟堆肥か腐葉土を1:1 ~ 2:1など、基本的な分量がありますが、実際は、それぞれのお庭や去年使った土に混ぜる作業になるので、正確なレシピはありません。実践しながら学び、その都度、調整してゆきましょう。

堆肥を使用せず、お庭の土を豊かにする方法

ハタサロのおすすめは ”コンポスト”

コンポストとは「堆肥(compost)」や「堆肥をつくる容器(composter)」のこと。日本の伝統的な知恵のひとつです。
現在では、バック型、置き型など、生活様式に合わせてコンポストをネットショップで購入、または、DIYできます。

ハッセコーチ
我が家は庭に枯れ葉がたくさん集まるので、庭先にコンポストを設置しています。家庭で出る毎日の生ゴミ(野菜の皮や芯など)と枯れ葉を土に混ぜて数週間~数ヶ月熟成させることで自家製の堆肥ができます。完熟した堆肥は畑に撒いたり、黒土と合わせて苗用に使っています。

ハッセコーチのコンポストは、プロの貫禄があります。

真理子さん
ハタサロのメンバー内でもコンポストは話題ですね。私も庭にコンポストを作ろうと思っています。
我が家は自然栽培の玄米が主食ですが、父は分づき米が好きなので大量の米ぬかが出るんです。料理やお菓子作りに使ってもまだ余るくらい。米ぬかで栄養豊富な堆肥が出来るそうですね。生ゴミを減らせて土を豊かにできるなんて最高です!

ハッセコーチ
自然栽培の米ぬかは貴重ですよ。日々の暮らしの中で栄養豊富な堆肥が出来て、美味しい野菜を育むことができる。自分たちの手で食の循環を作れる生活は素晴らしいですよね。

こちらは米ぬかたっぷりのマフィン。こんなに美味しいものを毎日食べられるご家族が羨ましい限り!

真理子さん
お庭のあるかたは、片隅に土を再生させる場所を設けると便利ですよ。植物が育った後のプランターの中身を敷石と分別して、使用後の土を一箇所に集めて緑肥を撒きます。すると、忘れた頃に土が豊かになってくれています。ハタサロで、麦が土を耕してくれたり、大豆が根粒菌をつけて窒素を増やしてくれることを学んだときも感動しました。

ハッセコーチ
コンポストを敷居が高く感じるかたは、真理子さんのようにお庭の片隅に土を作る場所を作ってもいいですね。とても良いアイディアだと思います。

植物が育ち、養分が少なくなったプランターの土を再利用。敷石をふるいにかけた土を一箇所に集め、緑肥を撒きます。

土を平らにする

畝(うね)を作らず家庭菜園をするには?

ハッセコーチ
ここは水捌けがいいので畝は必要ありません。掘り起こした土の表面を平らにしてゆきましょう。器具はあるもので大丈夫です。今回は畝立てしない代わりに、種を踏まないように紐を引いて足置き場を作ります。畑の大きさは大体140cm×200cm。お子様も手が届く間隔、大体50cmほど開けてポールを立てましょう。今回はご自宅にある割り箸と麻紐を使いましょう。

こちらの三角峰は1本持っていると便利ですよ。このように地表を平らにしたり、掘ったり、根を断ち切ったり、草刈りにも使えます。(真理子さん)

新聞紙で作るプランター 、ボールで作った可愛らしい鉢など、再利用を楽しみながら栽培なさっているご様子が心和みます。

育てる野菜を決めましょう

真理子さん
ハッセコーチ、何を育てれば楽しくなるでしょうか?

ハッセコーチ
10月なので、ちょうど冬越しの野菜が植えられますね。
この季節だと春菊、ホーレンソウ、空豆、えんどう豆など豆科の植物。ハーブなどのメディカルガーデン的なエリアを作っても楽しいと思います。

真理子さん
虫除けネットなど張らずに、簡単に育てられる野菜が希望ですが。

ハッセコーチ
真理子さんがプランターで育てているイチゴを移植してもいいと思います。イチゴなら虫除けのネットを張らなくても大丈夫。あと、春菊を植えましょう。春菊は万能のコンパニオンプランツです。コンパニオンプランツとは、害虫忌避の効果がある植物のことで、アブラナ科を好む害虫(モンシロチョウやコナガなど)は、春菊の香りを嫌がります。農薬を使いたくないかたにおすすめの植物です。

それでは、お部屋に戻り作戦タイムです。紙に思い思いの畑を描きましょう。「計画通りにはいかないと思うけど一応描いてみます。常に最悪の状態を想定するネガティブな性格なので(笑)」(真理子さん)「危機管理能力が高いということですね(笑) それって農業に向いています。期待ばかり大きいと続かないですから。」(ハッセコーチ)

美遥ちゃんが描いた畑デザイン。大好きなソーセージもすくすく育つ実り豊かな菜園です。

種や苗を植えましょう

ハッセコーチ
苗や種を植えるときは基本的に南に背の低いもの、北に背の高いものを植えることで均等に日照時間を保つことができます。
お庭の日当たりが悪い場合は、プランターに植えて、玄関先やベランダなど日の当たる時間に移動させて、植物をお日様に当ててあげましょう。

イチゴはランナー(親株から伸びるつるのようなもの)とは反対側に花が咲き実が出来るので、花や実がなる方を手前に向けるなど、苗の向きを考えて植え付けます。また、植え付けるときは、クラウン(根元の茎にあたる膨らんだところ)が土に埋まらないようにしましょう。

ハッセコーチ
真理子さんのイチゴは、ランナーに子、孫、曽孫など伸びていますね。若い芽のほうがエネルギッシュで定着率が良いので早く根づきますよ。

真理子さん
やっぱり… 。植物界も若いって大事なのね(笑)

真理子さんはご自身の菜園で、イチゴ、日本ホウレンソウ、つるなしスナップエンドウ、白菜、そして春菊を育てることになりました。

真理子さん
だんだん畑らしくなってきました。
慣れてきたら自分で虫除けネットを作っても楽しいかも。家庭菜園は敷地が大きいわけじゃないから、逆に気楽にいろいろな挑戦ができますね。

真理子さんお手製のガーランド。栽培しているお野菜の刺繍が施してあります。実用的かつ、キュート。

栽培記録をつけましょう

家庭菜園のスタートをきった真理子さんへ、ハッセコーチからの贈り物は農業手帳&種まきカレンダー。『野菜便り』の付録であるこちらは、ネットショップで購入できるそう。

ハッセコーチ
カレンダーやご自身のスケジュール帳でもいいんです。植物の生育状態だけでなく、そのときの感情を書くとおもしろいですよ。後から見直すと自分のこともわかって興味深いです。
月の満ち欠け、天気、生育状況などの自然のリズムと、心の状態が繋がっていることが実感できるかもしれません。男性メンバーに渡しても「植えた」「水撒いた」しか書かなそうだから(笑)

真理子さん
なるほど。「イライラした。」とか書いちゃうかも(笑)
植物を育てて大自然に参加することで、心の状態がより深くリンクしてゆくのかもしれませんね。体調も書いてみようかな。種まきに最適な日もあるんですね。

ハッセコーチ
そうなんです。太古から農業は大自然とは切り離せない神事でもあります。職業だとタイミングを合わせるのは難しいけど、家庭菜園なら月の満ち欠けに合わせて作業するのも楽しいです。私も意識してゆきたいところです。

真理子さん
大きな流れに逆らわず、侮らず、自然に寄り添って生きてゆく。都会の暮らしで植物と仲良くなれたら、心や体も変化するのは必然ですね。家庭菜園って、こうした副産物こそが愛おしい。これから、発芽報告や間引きのタイミングやコツなど、たくさんの質問を日々投げかけます。ご指導のほど、どうぞよろしくお願いします!

ハッセコーチ
こちらこそ。まずは発芽が楽しみですね。
家庭菜園は私たち人間の都合と自然との折り合いをつけて「いかに心地よく栽培するか」そこが最終着地点だと感じています。
些細なことでも疑問が生まれたら、なんでもご相談ください。

ここから先の農トレは、ハタサロのFacebookプライベートグループで日々発信&共有されてゆきます。
そして、この取材の数日後、岩田家のコンポストが完成しました!

これまでの経緯もぜひ併せてご覧ください。「リジェネラティブなスタイルの農業、在り方を目指すハタサロが提案。ご家庭で自然栽培を実践する”農トレ”がスタート。」

 

ハッセコーチによる「土から考える」プランター栽培ワークショップも体験できるarila!主宰イベントが2021年12月7日に高尾の新しい名所、活動型ホテル「タカオネ」で開催されます。入場無料!どうぞお越しください。
Organicに!”好き”を持ち寄るMEETUP&SHOWCASE

ハタサロ畑コーチ;長谷川晃
サッカーコーチから農家に転身し就農10年超え。八割を固定種在来種で栽培し種採りも行う。シリアでのサッカーコーチ時代、子どもたちがお腹が空いて動けないという現実を目の当たりにし食の大切さに目覚め帰国後農家に。同時に、サッカーで旅した世界中の地球環境の劣化や砂漠化などを体験したことで自身の農家としての役目を導き出す。哲学を共にするアウトドア企業パタゴニアの理念に共感し、環境を再生する農業に取り組み、農業によって地球環境を再生しより良くしたいと考えている。

岩田真理子
岩田真理子ERAN株式会社 代表取締役 国際線乗務員経験を経て、人財育成の会社を設立。 多くの研修・コーチング提供し、自身の体調も含め、食事の在り方、大切さを痛感。 師、船越康弘氏と出会い、”食を通じて社会に貢献したい”と思っていたことろに、結婚出産を経験。生後間もない娘を抱っこしながら、夫の新規事業のオーガニックカフェレストラン”きせきの食卓”のコンセプト、週ごとに変わるメニュー開発を担当。 現在は、子育てに軸足を置きつつ、講師活動も再開。 人としての日々の在り方、暮らしの哲学を研鑽中。 子どもの頃の夢は全部かないました。CAも先生も、ママになることも。 だからこそ、次世代にも、その次以降の世代にも恥ずかしくない選択をしてゆきたく ハタサロの一期生に一番乗りしました。 テーマは『倖ばしい暮らし』 好きなことばは『すべて大丈夫』

 

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