手拭を染めるというコト
「手拭」を使っていますか?
持っていない人もいらっしゃるかも。でも私は「ツチカエル」という屋号で手拭を染めています。
理由は、震災でケガをして手拭で処置してもらった方の『今度は私が誰かを助けられるように“手拭”を持つようにした』という言葉に感動したから。
役に立つ手拭を作りたい!と始めた手拭制作ですが、今や私にとって手拭は無くてはならない物。私を表現する大切な存在です。
ツチカエルの手拭は、ざっくりと ①藍を育てる ②藍に染める ③藍で描く の3つの工程で出来ています。
①藍を育てるには、春にタデ藍のちっちゃな種を蒔き、夏に育ったタデ藍を刈取り、葉を醗酵させて「スクモ藍」を作り、秋から冬にかけて種を収穫し、次の年の土作りを行なっています。
染料の「スクモ藍」は栄養豊富。ですから染め終わった後の染料は、畑に還して栄養にしています。それが『土から生まれ 土に還る 物づくり(ツチカエル)』の所以です。
②藍に染めるには、まず藍を建てます。藍を建てるとは「染料液」を作る事。スクモ藍を灰汁と混ぜ、青く染められる状態になる事を「藍が建つ」といい、藍を建てた容器を「藍甕」といいます。
布を藍甕に「入れる」「出す」を繰り返すことで、水色から青そして藍へと色濃く染まるのです。ツチカエルの手拭は、最低でも6回以上染め重ねています。
③藍を描くには、オリジナルの柄をデザインし、型を彫り、型染めします。
ツチカエルの手拭は、私が使って気持ち良いと思う「デザイン」と「使い心地」「手のかけ方」を考えながら日々精進しています。手拭を染める事が私の一部であり、私に自信と成長する気持ちを与えてくれるのです。
先日、たいへん嬉しい事がありました。
お客様に『手拭で命を救われました!』と感謝の言葉をいただいたのです!そのお客様は登山家で、下山中にアイゼンの紐が切れてしまい、手拭を裂いて代用し命拾いされたそう。嬉しくて泣きそうになりました。
今の私の目標は、手拭を作り続ける事。
だから畑もアトリエも応援してくださる方も、とても大切な宝物なのです。
投稿者プロフィール
- 子供の頃から作る事が大好きで、美術大学に進学し、デザインの仕事をしておりました。 現在は染めと織の工房で働きつつ「ツチカエル」という屋号で「土から生まれ 土に還る 物作り」をモットーに、染料の葉を育てる所からはじめる「型染手拭」を一枚一枚手染めしております。
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- COLUMN2022年2月4日手拭を染めるというコト
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