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Edible × Seed <記憶する種>  神﨑典子

 7年ほど前、三浦半島の外れでひっそりと畑を始めたばかりのとき、一代限りで終わってしまうF1種のことを知り、ショックを受けました。子孫を残せない野菜を食べ続けていて大丈夫なの? 種が採れないなんて、それってヘンだよね? また反対に、固定種・在来種の種は、その土地の情報を遺伝子で次世代に伝えていくという話を聞き、自然のシステムの完璧さに畏敬の念を抱きました。

 種って、すごい。私が無精なこと、西からは潮風が吹いてくること、たまにアライグマが出没することなど、種が体験する世界のあらゆることを記憶して、次世代に伝えていく。そして、先代から情報を受け継いだ種は三代目になると、その土地に合った野菜に進化するというのだから、もう天晴れとしか言いようがありません。

 実際、自家採種した種から作った野菜は、無肥料・無農薬でも元気に育ち、何より美味しい! これだから、小さな種の広大な宇宙に、引きずり込まれてしまうのです。

 

※写真 自家採種したモロヘイヤの種。昨年の秋に採種したものが、三代目になります。次シーズンが楽しみ!

 

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nonco kanzaki

出版社に勤務後、フリーランスの編集・ライターとして雑誌や書籍の仕事を続ける。現在は、敬愛するサティシュ・クマールの言葉「Soil、Soul、Society」をテーマに、自給自然農の畑と本づくりと執筆と落語に勤しむ日々。晴耕雨読(書)な生活を目指す。

 

 

 

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