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Being into Doing! マインドフルカフェ®が有機的につなぐ個と組織、その先の社会とは?

受験に失敗したこと」「希望職につけたこと」「パートナーとの出会い」「子どもができた」

これらはすべて、人生における「もっともインパクトのあった出来事」を問われて挙げられた誰かの回答。どれも興味深く、思わずもっとその話が聞きたくなのだが、この場で「へ〜、それでそれで?」と話しかけることはグッとこらえよう。

なぜならこの問いは、ある人財開発プログラムの冒頭で、参加者はまだ1つめのワークに取り組み始めたところだからだ。

個人の「在り方」と、社会や組織との関係性をつなぐこのプログラムは「マインドフルカフェ®」として2019年に始動したばかり。今回は、ソニー本社にある「学びと成長の場」PORTで開催された会場にお邪魔し、その全体像を見せてもらった。

マインドフルカフェ®を提供するメンバーは、音楽業と飲食業におけるチームビルディングを実践してきたel&s社の塚本サイコと、コンサルタントであるAKIこと野口 正明(のぐちまさあき)さん、自分史をメソッドとして広く伝える柳澤 史樹(やなぎさわふみき)さん、そして、臨床心理士であり大学で心理学を教える竹田 葉留美(たけだはるみ)さんの4名。

全く異なる分野で活動してきた彼らの共通点は「個が活かされる社会のあり方とは」という問題意識を抱えていたことにある。あるタイミングで共感しあい、各自の知見を持ち寄り、約一年半の期間をかけて考案されたメソッドが「マインドフルカフェ®」だという。

この日の会場となったソニー本社では、約2時間半にわたるプログラムが楽しげに行われていた。

就業時間外における社員のソーシャル活動に協力的な同社内では、今年から「Mission Lab(ミッションラボ)」と呼ばれる活動が始まったばかり。

企画運営を担当されている大村信夫さんと吉田聖さんの話によると、誰もが持っているであろう「人生のミッション」を発見し、個人の暮らしの軸にしようというコンセプトに基づき、ゲスト講師を招きながら学びの場を開催しているという。国内きっての大企業で、さぞかしどの部署も多忙なはずだが、むしろだからこそ「個」に着目しているようだ。

■「橋」としてつなぐ関係性

はじめにAKIから、マインドフルカフェ®に関する説明の時間があった。

「マインドフルカフェ®は橋として、あなたのBeingとDoingをつなぐプログラムです」

これは、個人が個人として存在する意義「Be」と、個人が社会との接点を持つときの行動「Do」を表していて、一般的にDoは仕事を意味する。たとえ企業に属していなくても、家庭や地域など、あなたが生きる場所には”仕事”が存在している。それだけ人は、社会的な生き物なのだ。

あなたの「在り方」と、あなたの「仕事」が切り離されることなく、いいバランスを保つこと。さらに個人の「在り方」を見つめ直すことでその人が自発的に向上し、結果的に「仕事」にもいい影響をもたらすこと。ここに重きを置いて着目したことこそ、マインドフルカフェ®が企業に良い効果をもたらすプログラムとして際立ちはじめた理由かもしれない。

では、どんな「橋」がかかるのだろうか。

はじめに感想を述べてしまうと「よくできてるなぁ」と感心してしまった。これは決して取材者としての上から目線ではなく(それも含んでいるが)受講している人たちの表情から感じ取れたことだ。

まずプログラムは「わたし」「わたしとあなた」「わたしたち」という3段階のストーリーで構成されている。受講生はリードに沿ってワークを行うことで、まず自己を見つめ、次に他者を認知し、最後に社会における自分たちの立ち位置を振り返ることができる。

適度に他の参加者と交流の時間が用意されていることで、自分だけの世界に入ってしまうこともない。また、自らの過去を振り返るときに起きがちな「思い出したくない出来事」に触れる必要はないと明言されていた。良いか悪いかといったジャッジメントも不要ということだろう、冒頭の問いの通り「インパクトがあった」出来事は人それぞれなのだから。

AKIのインタビュー記事・個を解き放つ組織変革をマインドフルカフェ®︎ から

■見えてきたものは安心感

この日マインドフルカフェ®は、企画したミッションラボ担当者の予想をはるかに超え、受講生達からのフィードバックも高い満足度をマークした。受講の前後における心理的効果は専門的な分析がされるものの、もっと感覚的な満足度を講座終了後に直接聞くことができた。

こんなに社員が残っておしゃべりすることってないんですよ。

担当者の方も驚くほど長い時間、受講者同士、そして受講者と講師たちの交流が続いていた。プログラムの内容自体に質問のある人、自身の人生の立ち位置を思い返す人、今後の方向性が見えてきたと感じる人、いずれにしても感情が込み上げている様子が見て取れる。

自分を知り、相手を知る。忙しくしていると普段の暮らしではついおろそかにもなるものに向き合うマインドフルカフェ®だが、どうやら「痛み」はともなわないようだ。カフェと名乗るだけあり、オープンで、快適で、安心感のある空間で導かれる新しい人財開発メソッドのこれからが楽しみだ。

マインドフルカフェ®の詳細、導入に関するお問い合わせは

とんがりチーム®研究所

elemental life & society

Two Doors 

 

個を解き放つ組織変革をマインドフルカフェ®︎ から

とんがりチーム®研究所  主宰 野口正明(AKI)

日・米の大手企業にて商品開発、生産管理、人事・人財開発の仕事を経て、組織風土改革支援のスコラ・コンサルトでプロセスデザイナーとして腕を磨く。約30年のビジネス経験を積み、2017年末にとんがりチーム®研究所を創業。1965年福岡市生まれ。早稲田大学政経学部政治学科卒業。NPOふじの里山くらぶ副理事長。


やなぎさわまどか(ライター・編集・翻訳ディレクター)

神奈川県出身。ナチュラリストの母の影響により幼少時代から自家製の自然食や発酵食品を中心に育つ。高校在学中から単身海外や留学など度々の海外生活を経て、帰国後は英会話学校の運営、のちに都内のコンサルティング企業に転職するも東日本大震災を機にかねてより望んでいた農的な暮らしへと段階的にシフト。現在は横浜から県内の山間部に移り、食や環境に関する取材執筆、編集、翻訳通訳のマネジメントなど。

 

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