家庭菜園の土作り | プランターや一坪の庭で一から畑を作る!【初心者でも簡単にふかふか】
お庭やプランターで家庭菜園を始めるとき、まず、重要なのは土作りです。植物にとって、最適な土とはどういったものなのでしょうか。
こちらでは、一般的な慣行栽培のプランターやお庭での家庭菜園の土作りの手順やコツをお伝えいたします。
気候変動や土壌汚染対策に有効なリジェネラティブ農業(参考サイト:パタゴニアのホームページ)に共感し、環境を再生する農業に取り組むハタサロの畑コーチ・長谷川晃さんとハタサロメンバー・岩田真理子さんによる「資材や道具は最小限! お庭を活かす家庭菜園をご自宅でコーチング」と併せてご覧ください。こちらでは、土壌を修復、改善して豊かにするための更なるアイディアやコツをご紹介しています。
慣行栽培と自然栽培の違い、代替方法など、初心者でも簡単にご理解いただけます。
【家庭菜園の土作り】理想的な土を一から作るために必要なこと
理想的な土とは、植物に充分な栄養を与えることができる土のこと。水分と酸素を植物に配給できる土。つまり、保水性、通気性がよい土のことをいいます。
さらに、必要な養分を保持するための保肥性、野菜の栽培に適したph(土壌酸度)であること。それらを総称して”団粒構造のある土” といいます。
「団粒構造」とは、活発な微生物の働きによって作られる団子状の土の集まりによって構成された土壌のこと。微生物の排泄物や粘液などによって土の粒子が集まることで出来る団粒の隙間には、水や空気が含まれ、水分、酸素、栄養分がたっぷりと蓄えられます。見た目は黒っぽく(微生物によって分解された有機物の色)触るとふかふかしています。土を軽く湿らせて手で強く握り固めたものをほぐすと、ほろほろと崩れるくらいが理想です。
→【ハタサロの農トレ】ここを見れば一目瞭然。団粒構造のある土を見極める簡単な方法とは?
【家庭菜園の土作り】堆肥の役割
堆肥とは、有機物が微生物の働きにより分解・発酵したもので、養分の少ない土を団粒構造に変えることができます。植物性堆肥は、落ち葉、稲藁、刈り草。動物性堆肥は牛糞などから作られます。
こちらを土壌に混ぜることで、保水性や排水性、通気性、保肥力がよくなります。1㎡あたり2~3kgの堆肥が適量で、種まきや植え付けの二週間前に土とよく混ぜます。
堆肥を使うときの注意点は、完熟堆肥を使うこと。完熟していない生ゴミ堆肥を使うとアンモニアガスが発生して虫を引きつけたり、作物の根を傷つける原因となります。
完熟した堆肥は園芸店やホームセンター、インターネットでも購入できます。
→ ハタサロの農トレ 「堆肥を使用せずお庭の土を豊かにする方法」ハタサロのおすすめは”コンポスト”
いまさら聞けない? 「堆肥と肥料の違い」
堆肥とは、土壌のためのもので、落ち葉や家畜の糞などの有機物を微生物で腐熟させることで作られます。団粒構造のある土作りに利用します。
肥料とは、植物のための栄養素のこと。窒素、リン酸、カリウムが三大要素で、即効的に野菜に多くの養分を与える化成肥料と、ゆっくりと自然の速度で養分を与える有機肥料があります。
堆肥は土壌に養分を与えるもの。肥料は植物に養分を与えるものと考えるとわかりやすいですね。
【家庭菜園の土作り】土壌酸度を整える
日本は酸性雨が降るので土壌が酸性に傾いていることが多く、酸度調整が必要な場合があります。
野菜によって適した酸度は違いますが、多くはアルカリ性の土を好むとされています。
そのため、土に石灰(カルシウム)を施し、あらかじめ中性~アルカリ性に傾けておくのがポイントです。(ph6~7 弱酸性~中性)
このときに使用する「苦土石灰」とは、「苦土」はマグネシウム、「石灰」はカルシウムのことを指します。
ドロマイトと呼ばれる岩石を使いやすいように化学合成して粉状や粒状にした肥料です。1㎡あたり100~120gの苦土石灰を加えるのが目安です。
→【ハタサロの農トレ】「自然環境に負担をかけない酸度調整法とは?」
【家庭菜園の土作り】プランター編
プランター選びのコツは、野菜の大きさや根を伸ばす深さに応じたものを選ぶこと。プランターにご自身でブレンドした土を入れて野菜を育ててゆきましょう。
土を作る時期は種まきの二週間前、赤玉土(小粒)と黒土、完熟堆肥か腐葉土を1:1 ~ 2:1で混ぜ合わせた土を基本に、野菜ごとに好む土の配合を作っていきましょう。
手で混ぜ合わせ、軽く握ってすぐに崩れるようなら土は完成となります。
土を購入する場合
野菜用培養土は園芸専門店、オンラインショップで販売されており、14リットルサイズが2000円前後で購入できます。
初心者は市販の野菜用培養土(赤玉土、腐葉土、石灰肥料)がおすすめです。培養土は品質と価格が比例しているとよく言われています。
混合物や雑菌が含まれている恐れがあるので、あまりにも安価な土の購入は避けましょう。
必要な道具と役割
プランター:栽培するための容器
鉢底石:水はけをよくするための大きめの石
ネット:底穴から土が流れ出るのを防ぐ
移植ゴテ:30cmほどの大きさのミニスコップ 苗の植え付けなどに使用
園芸用シート:土を混ぜるときに使うシート、もしくはトレイ
用土:赤玉土や腐葉土など 市販の培養土
肥料:緩効性化成肥料か有機肥料やぼかし肥料
手順
- 用土を混ぜる
- 肥料を混ぜる
- 酸度調整をする
- プランターの準備をする
- 鉢底石や寒冷紗を底に敷く
- 培養土を入れる
- 種まき 苗植えをする
【家庭菜園の土作り】庭編
土を作る時期
種撒きするタイミングから、逆算して1ヶ月ほど前から庭仕事を始めましょう。
まず、菜園を作る場所を決めて、深さ20~30cmほど掘り、小石や根っこ、茎葉を取り除きながら耕します。
土に苦土石灰を混ぜて二週間ほど置いて、その後、堆肥などの有機肥料を混ぜてふかふかの土にします。
→ 【ハタサロの農トレ】「堆肥を使用せず、お庭の土を豊かにする方法」
粘土質の土の改善法
お庭の土は長年、住人が踏み込むことにより表面がカチカチに固く粘土質になっている場合があります。固まった土壌は土の粒が崩れ、酸素や水の入り込む隙間がないので、植物は根をはることができません。保肥性や保水性はよいので、その性質を活かしながら改善しましょう。
必要な道具と役割
酸度測定液または土壌酸度計
メジャー:畑のサイズを測る
スコップ:土を掘り起こす 畝(うね)を立てる 収穫にも便利
鍬(すき):土を掘り起こす 畝を立てる
レーキ:土の表面をならす 雑草や枯れ葉などの混雑物を取り除く
ならし板:畝の表面をきれいに整形する
園芸用支柱 紐:畝をるときの目印に使う
苦土石灰:土壌の酸度調整に使う マグネシウムを含む
混合堆肥:土壌を団粒構造へと改善させる
肥料:元肥として野菜の生育に必要な栄養分を補う
→「資材や道具は最小限! お庭を活かす家庭菜園をご自宅でコーチング」
手順
1 畑の位置を決めて深さ30cmほど土を掘り起こします。場所はなるべく日当たりのよい南側を選びましょう。天地返し(土の表と裏をひっくり返す)の後、数日から一週間ほど天日干しをします
2 数日後、鍬やスコップでさらに耕して土粒を細かくする。こうすることで、通気性や排水性が良くなります。
3 土の状態と土壌酸度を調べます。市販の試験薬を使ったり、土壌酸度計を土に挿して測定します。
4 酸度が高い場合は、苦土石灰を投入します。アルカリ性を好む野菜を育てるときはやや多めに散布します。区画全体をまんべんなく撒き、鍬で耕してから土に馴染ませます。
→ 【ハタサロの農トレ】「自然環境に負担をかけない酸度調整法とは」
5 苦土石灰を投入して1~2週間ほど寝かし、ある程度土になじんでから、混合堆肥(鶏糞、豚糞、牛糞)を投入します。混合堆肥は園芸専門店、オンラインショップで購入可能です。堆肥を投入して一週間後、肥料を投入。投入目安は、1㎡あたり1.6~2Lほどが目安です。
→ 【ハタサロの農トレ】「堆肥を使用せずお庭の土を豊かにする方法」
6 畝(うね)を作る
畝とは、畑で作物を作るために細長く直線状に土を一段高くした場所のことで、野菜のためのベッドのようなものです。畝を作ると水はけが良くなり、野菜が育ちやすくなります。土質や育てる野菜に合わせて畝の高さを調整します。畝の理想の幅は、作物の種類によって異なります。
雑草が生えたらどうする?
雑草が伸びてくると、育てている野菜に日光が当たらず生育が悪くなったり、通気性が悪くなるため、湿度が上がり病気や害虫を発生させる原因になります。
そんなときは、黒いマルチフィルムを土にはっておくと、雑草の発生を抑えることができます。
雑草を完全になくすことは難しいですが、食用に使いたくない除草剤などの薬剤や農薬の使用を避けることができます。
→ 【ハタサロの農トレ】「雑草は栽培の敵ではありません。自然環境に負担をかけない酸度調整法とは?」
【家庭菜園の土作り】まとめ
しっかりと強い野菜を育てるうえで大切なのは土作りです。慣行栽培の土作りと自然栽培の土作りの違いをご理解いただけましたでしょうか。
ご自身のライフスタイルに心地のよい方法を吟味して栽培を続けることで、さらなるアイディアや考え方に出会うことができます。
家庭菜園がきっかけで、コンポストを導入して家庭の生ゴミを栽培に活用するなど、循環型ライフスタイルの在り方、生き方を実践なさるかたも多いようです。
家庭菜園は初めはコツがつかめず困難と感じるかもしれませんが、基本をマスターすれば応用も効きます。まずは気楽に、楽しむことから始めてください。
気候変動や土壌汚染対策に有効なリジェネラティブ農業を提唱する【ハタサロの農トレ】こちらの記事も併せてご覧ください。
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