個を解き放つ組織変革をマインドフルカフェ®︎ からVOL.3
マインドフルカフェの第一話目「わたしのストーリー」のベースとなる「自分史」。この連載で AKI(野口正明)さんにインタビューしてきて、この自分史が扉を開く鍵のように感じました。
自分史とは何か?どういった効果があるのか?マインドフルカフェのメンバーで、自分史活用アドバイザーの柳澤史樹さんにお話しを聞きました。
■自分史とは「自分が監督、主演、脚本の作品」
―自分史とはなんですか?
柳澤: 自分史の定義はいろいろあるんですが、私は「個人と社会を繋ぐストーリーを記した、自分が監督、主演、脚本の作品」とお伝えしています。
―1回でやる講座の場合は主にどんなことをやりますか?
柳澤:自分史の定義、その価値や歴史を学び、自分史年表のフォーマットで過去の棚卸しをしてもらいます。
そして一つのエピソードについてA4の用紙1枚の自分史を書いてもらうというのが主な内容です。ときには1枚題材となる写真をもってきてもらうこともあります。
自分史というのは、自分のことを客観的に他者との関係を織り交ぜて作品として仕上げていく作品性があるところが日記と違うんです。
誰もが人間関係や、時代のなかで生きてきて、その中に喜怒哀楽、感情のあるシーンがあり、ドラマがありますよね。このシーンやドラマを、自分が主演でありながら、その一方で監督のように観て、一つの作品にしたためるのが自分史です。
自分史とは人に観てもらう、読んでもらうための「作品」ということを意識して、自分の人生ではあるけれど、それを客観視する目線をもつ、そこがとても大事だと思っています。
■現在の自分の座標がはっきりすると未来の解像度が高くなる
―自分史を作る年代は自由に切り取っていいんですか?
柳澤:どこの年代を切り取ってもいいし、もちろん全部でも構いません。
自分史と一口にいっても、形式もさまざまありますし、自由度がすごい高いんです。もともと自分史とは「お年寄りが最後に残す書籍」というかたちで広まったんですけど実はエッセイも自分史だし、仕事史みたいに限定して書いてもいいし。ただ、過去をどう解釈するかは、現在の自分なんですよ、とお伝えしています。
過去の事実は変えられないけれども、その時の感情と、今のあなたの思う感情は違うことってよくありますよね。過去は過去、現在は現在で違うのは当たり前で、その解釈は変わって当然ですし、変えてもいいんです。
―現在の自分を再認識するプロセスなんですね?
柳澤:そうです。自分史って、過去だけを振りかえるイメージが強いと思うのですが、実は過去について考えているのは現在の自分自身なんですよね。それに気づくことで、現在の自分の座標、言い換えれば自分の在り方が明確になります。
そうすると、これから起きる未来の選択や展開を、客観的な視点を意識しつつ、主体的に選択できるようになります。
つまり「自分の人生をどう生きていきたいか」という「未来の解像度」が高くなるんです。
だからこそ、まだ未来のある若い人に自分史にチャレンジしてもらい、楽しく生きるエネルギーにしてほしいなと思っています。
―自分史の講座を受けた人の反応はどうですか?
柳澤:受講してくれた方全員にアンケートを書いてもらうのですが、「自分が頑張ってきたことにあらためて気がついた」とか、
お父さんのトラウマがあった方が、それを棚卸ししたことで、それを克服でき、とても前向きになれたという感想などがありました。
―講座を受けた後に、そのような感想になるのはなぜだとおもいますか?
柳澤:自分の過去を棚卸しすることによって、時間の幅がはっきりイメージできるので自分のやってきた頑張りみたいな、「大変だったけども、でも精一杯やったな」とかいろいろことにはっきり気づくことがあります。
それが結果として自尊感情を高めて、自分を認めてあげられる効果は大きいです。
嫌なことは結構覚えていたりすることが多いけれども、良い事は丁寧に棚卸しないと出てこないことが多いんです。
自分史はポジティブな目線で書いた方が自分にもいいし、人も読みますから、ポジティブな視点で監督になってドラマを好転させていく、そんなイメージで自分史にチャレンジしてみてほしいです。
■自分らしく幸せな人生を送る答えは自分の中にある
―自分史って、40代とかのサラリーマンによさそうですね。
柳澤:そうそう。40代って、人生折り返してこれからどうするかっていう年代ですよね。企業で40代の中堅層とか、定年までの道筋がだいたいみえるじゃないですか。これから先どうするか?ということを考えるタイミングだと思うんです。早期退職するとか、定年退職した後の自分の人生をどういうふうに面白く過ごせるかとか考えている人が結構多いですからね。
―柳澤さんが初めて自分史を受けた時の感想は?
柳澤:私が所属する一般社団法人「自分史活用推進協議会」の認定講座が最初でしたが、その中で一番印象に残っているのは、年表ワークです。
1シート10年分の用紙に、生まれてから現在までのあったことを、自分で棚卸して書くというワークで、これは体験講座でも必ずやるんですが、たったこれだけのシンプルなワークでも、人によって感じることが違うのが興味深いんです。
私の場合は「自分の人生ってこんなに覚えていないもんなんだ」とびっくりし、もっと日々を大切に生きなきゃいけないと強く思いましたね。
―これはマインドフルカフェでもやるんですか?
柳澤:はい、時間の制限があるので、キャリアに限定してやります。
―その年表はいつの年代でもいいんですか?
柳澤:例えば50歳の人だと50年の人生のできごとを10分や20分では書けないのでマインドフルカフェでは直近10年で仕事の上で大きなターニングポイントみたいなことに限定して書いてもらいます。
―自分史を活用できる場面は?
柳澤:日本は忙しい家族が多いので、日々の生活の報告以外では、ちょっと落ち着いて、あのときこうだったよねっていう話をする機会を作るのが大変だと思います。だから家族で自分史をやるよ!と決めて話すのは、家族の絆を深めるいい機会になると思います。
社会的にも、これから時代が変わっていくなかで、どう深い人間関係を創れるのか?と言うことが必要だし、それに自分史が最適だと思うからこそ、マインドフルカフェにうまくマッチしたんだと思います。
職場間のコミュニケーションでも、本当の自分をどれだけ上司や同僚が分かっているのか?というのが試される時代が来ているんです。だからマインドフルカフェは、新入社員研修、リーダーシップ、チームビルディング、シニアなど、あらゆる世代でカスタマイズして導入できるようになっています。
例えば以前にel&s社でやったアウトドアメーカーの研修とかすごくいいと思います。まずは自然のなかでみんなで土を触って、美味しいもの食べて、リラックスしたなかでマインドフルカフェをやるのが絶対に良いと思うんですよ。
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―農業とか単純な作業をやると共感の意識も高まりますよね。
柳澤:間違いないですね。
畑にいると、畝を見たり、テントウムシがいたとか、極めてシンプルなことに気づくじゃないですか。そういう一つ一の気づきが街だと少ないですから、それがまず必要だとおもいます。
勝手に自分の中で決めてしまっている概念をブレイクスルーするのには環境が大事だなとおもうので、マインドフルカフェも畑や山でやりたいですね。
■答えは自分で出し、そのあとの行動も自分で決める!
―自分を深めていくと、社会や世界、人類と視座が広がると思うのですが、その作業に自分史がとても役立つとおもうのですが。
柳澤:深めていくことによって得られるものって、哲学だったり信念といったような在り方の話しだと思うんです。
これからはそういう深淵な世界に入っていく、深化する時代だと思っています。
アウトプットよりもインプットを本気で極める時代ね。
瞑想みたいなものとも似ていると思うんですが、自分史がいいのは、答えを自分で全部みつけるところ。
「こうしなさい」と言わなくていいのが、時代にあった非常に優れたメソッドだと思っているんです。
答えは自分で出し、そのあとの行動も自分で決める!
自分が成熟すれば、自分の考えやアウトプット、行動全部が熟するはずで、そのためには自分の中にどんどん入って行かないと、みつからないじゃないでしょうか。
―自分を深めると外とつながるようになるのは不思議ですよね。
柳澤:自分を深めて客観視できるようになると、他者を観る視点が変わるという感じがありますが、そういうことって普段なかなかやらないですよね。
その視点を持つには自分史を通じて過去を無理にポジティブ変換させるんじゃなくて、いい事も悪いことも含めて自分の中に一度、入っていくことをオススメします。
ただ自分のなかで一度向き合い、整理し、自分で感じたことを自分で認め、受入れてあげればいいんです。
そしてこれから起きる未来については、新たなスタートのつもりでポジティブで主体的な在り方、人生、社会をイメージしていく、それが大事なんだと思っています。
柳澤 史樹(やなぎさわ ふみき)
自分史活用アドバイザー/ ライター/ 編集/ プランナー。
人間の生きた軌跡である「自分史」を軸にしたコミュニケーションメソッドをベースに企業研修や執筆、イベントを開催しているほか、農業・工業・ライフスタイルなどのライティング・編集に携わる。一般社団法人「自分史活用推進協議会」認定アドバイザー。
とんがりチーム®研究所 主宰 AKI(野口正明)
企業ビジネスも、地域社会も、世界の問題も、どんどん複雑化しており、しかも、それらは不可分に目に見えないところで絡み合っています。
だから、これまでとは違って、さまざまな背景や考え方を持った人たちが、知恵を寄せ合い全体ゾウを把握し、なんとか最適解を見出していくしか解決方法はないんですね。
そのようなエキサイティングな場所に足を踏み入れるためのゲートウェィがマインドフルカフェ®︎なんです。で、その一歩目を「自分史」から始める。
自分という私にとっては当たり前すぎて、普段見つめることのなかった自分。私らしい「在り方」の発動は、組織や社会との新しい関係構築へのパスポートを持つことと言えます。
マインドフルカフェ®︎の場でみなさんとお会いできる日を心待ちにしています。
個を解き放つ組織変革をマインドフルカフェ®︎ から
ソニー本社で開催されたマインドフルカフェのレポート
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インタビュー 野崎正律
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