SALAD REVOLUTION・Vol 1
~生産者編~ 人間は光を食べて生きている。
外食産業のサラダの野菜は植物工場の野菜が支流になりつつある。
植物工場の野菜は無農薬で作られていて工場は外と遮断されており、害虫の心配もないし、天候の心配もない。
温度は管理され、水も安定供給、太陽もLEDに代わり、日照時間の心配もない。
人間は光を食べて生きていると言う、太陽の光、その光で植物が育ち、その植物を動物が食べる、肉を食べていてもこの光が重要になる。
ここから考えると植物工場に大きな?マークがつく!
LEDの光が太陽に代わり、土を使わず、溶液などで育つ。現在、植物工場で多く栽培されている野菜は葉物が多く、サラダに使用されるような野菜だ、
植物工場が良いとか悪いとか言うわけではないが、
農業とは、何だろうか?
有機農家さんは露地で栽培して天候や害虫の影響を受け収量も安定しにくい、一見不利な環境で、なぜ野菜を育てるのか?
これからの食べ物や流通、環境などをどうしていくべきなのか?
なにが必要なのか?農家さんに話しを聞いてみたいと思った。
━長谷川さんはどこで農業をされていますか?
長谷川: 神奈川県相模原市です。家は横浜で横浜から通っています。実家が相模原で実家の近くで農業しています。
━横浜から通っているんですか?
長谷川: はい、通っています!
━大変じゃないですか?相模原に引っ越すという選択肢は?
長谷川:妻が自分で天職と言っている保育士なんですよ。おむつなし育児。
家と畑と切替えができていいですよ。
━どうして農業をしようと思ったのですか?
長谷川:昔、サッカーでブラジルに留学して、そのあともサッカーのコーチでシリアに行ったんですよ。現地の子どもがサッカーやりたいけど、お腹が空いて動けないとか、ハッとしましたね。サッカーを教える前に、生命を維持する食が大切だ!って、食の大切さに気づきました。
━それで帰国後農家に?
長谷川:サッカーのコーチで日本のクラブチームから、いくつかコーチのオファーをいただいて、見に行ったりもしたんですが、やっぱ農業がやりたいとおもって農業アカデミーに1年通いました。 そこでは慣行農法を学びました。
━1年通ってすぐ就農って大変じゃなかったですか?
長谷川:最初から有機農法を目指したんですが、ご想像の通り、全くできなかったっすね(笑)
━どうしたんですか?
長谷川:本などで調べたりですよね。色々調べました。その経験も為になりましたね。
━農地の規模は全体でどのくらいの広さになりますか?
長谷川:全体で1町(約1ヘクタール)あって、7か所に分かれています。ここの場所が一番来やすいところなので、畑を見たいと言ってくれる方は、いつもここで案内しています。
━栽培方法はどんな感じでやっていますか?
長谷川:有機栽培が基本です。無農薬でやっていて。畑は7つあるので無施肥の畑、植物性堆肥の畑、動物性堆肥の畑とそれぞれ分けて栽培しています。
自分も肉食べるし(笑)植物が欲しがっているものを入れる感じですね。資材もなるべく自然の材料を使いたいと考えています。
■不耕起栽培にもチャレンジしています。
僕は野菜を育てるのも、自分の子供を育てるのと一緒だと考えていて、環境が大事だと考えています。虫は全部が害虫ではないし、雨水や気温の上下、太陽の光も日陰がある事も大事だと思います。
さまざまな事が影響して野菜が育つのだと思うし、種取りをしているのも、そこの土地に適した変化をして個性的な野菜になっていくんですよね。
種取りを繰り返していくうちに、その野菜本来の味と、その地域の特性が混じりあって、他ではない野菜になっていくと思うんです。
━長谷川さんの野菜は小ぶりだけど味が濃い感じがします。
長谷川:小さくても細胞の数は一緒ですから。
━不耕起とか自然栽培とかは雑草が生い茂るイメージがありますが長谷川さんの畑はそこまで草が生い茂ってないですよね。
長谷川:そうですね。不耕起のような自然栽培などは多く草が生えるから、農地を管理していないようにも見られますね。
農地はすべて借りているのですが、貸している方は畑をきれいに使ってほしいので雑草が生えている畑は良く思われなんですよね。貸主さんの理解などコミュニケーションをとりながら可能な方法でやっています。
━種子の話しも出ましたが種子はどうしていますか?
長谷川:基本、固定種ですね。在来種も、種取りは20種くらい。苗も育てています。全体の7割から8割くらいを固定種で栽培しています。
(*固定種:親から子・子から孫へと代々同じ形質が受け継がれている種で、形質 が 固定されたものが育つ。昔から続く在来種や伝来種は固定種のタイプ。)もちろんF1品種も栽培しまていますが子孫を残すのは自然界の法則として一番重要に感じるんですよ。
植物は人間が関わらなくても、子孫を受け継ぎ自生していくものだと考えていて、農業だからすべてをそのようにして育てられないですけど、自生に向く品種などは自生させたりしています。
場所は取られて、年間で回すことも出来なくなるデメリットもありますが人の手から離れて育っているのは力強くて好きなんですよ。
━これだけの規模を固定種でやっているのは凄い事ですね!
長谷川:ウチは畑が7つあるから。交配しないように工夫したりしています。 でも去年は発芽率が悪かったりと、ちょっと大変でした。
━他に野菜を栽培するのに工夫している事はありますか?
長谷川:植物同士の特性を生かしたコンパニオンプランツや天敵を利用したりですね。バジルをナス科の作物と一緒に植えるとミツバチが来るようになったりするとかやっています。
━カマキリの卵を取ってきに入れたりしていましたね。
長谷川:農薬を使っていないので、虫の駆除をカマキリにやってもらってます。(笑)意図的に食物連鎖を作くりだしているというか。
野菜を植えると虫が来ます。カマキリの卵をわざわざ入れなくても、自然とカマキリは来るんですが、それだと遅いんですよ。カマキリが来る前に作物を虫に食べられちゃうので、最初からカマキリがいる状態を作り出しているんです。
■農業で地球環境を良くしたい
━前に海外でも農業したいとか伺ったことがありますがなぜですか?
長谷川:自分の満足感もあるのですが、大きく言っちゃうと農業で地球環境を良くしたい。
それは自分の畑だけやってても、なかなか変えられないし海外に行ったら、まずやりたいのが自分の農法を押し付けるんじゃなくて、その土地の伝統的な農法を勉強して、それから自分のやってきた農法とミックスさせてやりたいですね。あとシリアとかに行ってたんで、砂漠の緑化とかにも興味ありますね。
━慣行農法と有機農法の大きな違いと有機農業の難しいところは、どこにありますか?
長谷川:有機農業は少量多品目になるんですよ。このへんは生物多様性と同じで単一の物を栽培していると病気になりやすし、農薬などに頼る事になりまよね。農家の利益はどうしても販売個数になりますから、大量に生産出来れば収益も上がりますが、少量多品目だと量の生産と言うことでは少なくなります。
今30~40品目栽培していますが、本当はもっと栽培品種を増やしたいんですが、そうもいきませんね。
━前に畑のお手伝いに来た時に、ゴボウなどは収穫するのも本当に大変で、これ手作業なの?と思いました。
長谷川:そうなんです。ゴボウだけを栽培しているんだったら、掘り起こす機械とかもあって、そうゆうのも導入すれば楽だし、1時間で何個収穫可能とか、数字で出ますよね。でもうちはゴボウ農家ではないので、ゴボウのために機械を入れたりは出来ないですから、手作業が増えます。しかも一人でやっているし!
━長谷川さんはJAの理事とかもやっていて、慣行農法の農家さんとも交流があると思いますが、有機農家さんと違うな!と感じるところはどんなところですか?
長谷川:そうですね・・・有機農家さんは、一人でやっていたり、もしくは夫婦二人とかで規模が小さいですね。その分収入も少ないです。
慣行農法の方は機械を導入出来たりもしやすいので規模も大きくなり、子ども三人とかいて家族を養っているのを見ると立派だなと思います。
僕も嫁に理想ばっかり言って!と良く言われるので、自分が理想としている農業を推し進めながら経済的に成り立つようにしたいです。
━研修生とか募集しませんか?
長谷川:自分で募集などを積極的にはしませんが、来てもらえれば教えたいです。
━有機農業をやっている事が答えの一つだと思いますが、持続可能な農業とか考えますか?
長谷川:理想だけ言えば不耕起栽培で耕さないとかですね。日本だと雨が多いいから耕しても、そこまで問題ないんですが、砂漠みたいなところだとだめですよね。
━農業をするうえで大切にしていることはなんですか?
長谷川:野菜に対しては子ども育てるように、地域にの皆さんと助け合いあいながらとかですね。
あと生物多様性にしながら農業していけば、環境も良くなりますよね。
━消費者にどう自分の野菜を届けたいですか?
長谷川:農業初めて9年目なんですが、最初はちゃんと野菜を作りたいと思って、スーパーで並んでいるような規格の野菜を作って、そうゆうのを学びたかったんです。だんだん作れるようになって量も捌けるようになって、栽培の技術も上がってきたんですけど何か足らないんですよ。
スーパーだと納品して終わりで、それをやめてファーマーズマーケットなんかで直接お客様とお話しして売るようになって、
やっぱり対面で野菜の事を説明したりしながら売るのが満足感は一番ありますね。体温を感じたいんですね。
ただ、直接売りたいんだけど、そればっかやっていると畑に行く時間がなくなってしまうので悩ましいですよ。
━辛くて辞めようと思ったことはありませんか?
長谷川:それはないですね。楽しいですもん。
長谷川晃
インタビュー、文、野崎正律
写真、遠藤ひろし、野崎正律
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