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  • 土と種、健やかな農ライフを発信する人々のマガジンです

第10話『癌仲間と長い廊下』

このマガジンでは
今や生きる軸になっている
私と養生の出会い

そして
養生を軸に
私自身の在り方が
ひかられていくようすを

今を軸足をおきつつ
過去を振り返りながら
綴っています

時を経て
やりたいと感じることを生業にし
生活できるようになってきました

今も道半ばですが
人に支えられ
お陰様で生きています

第10話は、
進行性胃癌の手術から約3ヶ月
少しずつ食事をとれるようになり

退院へ向け大きな不安と
かすかな希望を抱えていた頃の話

どれも
今に繋がる在り方の
原点になっています

またまた重いですが
どうぞお付き合いくださいね


10話『癌仲間と長い廊下』

実は入院が
そんなに嫌いではなかった

思う存分寝ていられるし
休んでいても怒られないからだ

それに
自分を堕落した人間だと
思わなくて済む

いつも人誰かがいる
それだけで寂しさが紛れる

そんな入院中の喜びは
癌仲間との交流だった

名前も知らない
ただ目の前にいる人との
励ましあい支えあう

大体が親よりも年上の
おじちゃんおばちゃん

それぞれに
悩みながら懸命に生きてきたと
背中に書いてある

点滴や
いろんな管を携えながら
コロコロ コロコロ コロコロ

恐れも不安も希望も
全部いっしょに抱え

病棟の端から端まで
長い長い廊下を歩く

「今日は何往復した」
「何メートル歩いたよ」

歩いたあとは
ほとんど食べられないけれど
おやつの交換をする

退院したら
「これ食べたいね」
「あれ食べに行こう」と共に夢の餅を描く

そんな日々に支えられ
術後はじめて外へ
病院周りを散歩する

数ヶ月病院の中にいると
空の大きさ 風の自由さに驚く
もうすぐ退院か

(次回へつづく)


写真は
毎年2月につくるチョコスコーン
共に食べることは共に生きること

 

投稿者プロフィール

こぶな ちふみ
こぶな ちふみ
20代で病を得て心の在り方が体に影響及ぼすことに氣づく。様々な養生法を学び実践するなか、震災を機に農業の道へ。外房での農園運営やカフェ立上げを経て栃木県那珂川町に移住、夫と共に「こぶな農園」をひらく。現在、野菜・風土・養生をテーマに農産物をいかしたメニューの開発や監修、メディアへのレシピ提供を行っています。月刊クーヨンにて2021年4月号より野菜と養生をテーマに連載がはじまりました。

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