第8話『術後のICU』

このマガジンでは
今を生きる軸になっている
私と養生の出会い

様々な出来事を通し
私の在り方がひらかれるようすを
毎月少しずつ綴っています

時を経て
やりたいと感じることを生業にし
生活できるようになってきました

今も道半ばですが
人に支えられ
お陰様で生きています

第8話は、
手術直前
薄れゆく意識のなかで願ったこと

術後のICUで痛みを通して
私が再確認しはじめたこと

どれも
今に繋がる在り方の
原点になっています

またまた重いですが
どうぞお付き合いください

8話『術後のICU

死んでもいいかと思っていた私、
「栗おこわ」のおかげで食べたいんだと、
生きたいんだと気づきました

生きたかったことに気づいてしまったから
ここからはもう生きることしか考えられない

手術直前の薄れゆく意識のなかで
「このまま死んでも休まらない 何も変わらない」
「このままの心で死んだら体がなくなって
真っ暗で真っ黒な闇に放たれるだけ」

ひとりぼっちで闇を彷徨うのはイヤだと
強く強く感じました

そして
術後のICU
今でも覚えてます

目覚めると管だらけ
痛みで「生きてる」と知りました

へんなタイツと
響く機械音
管だらけの体

気がつくと
シーツの化学のりにかぶれたのか
かかとが割れて血が出ている

輝いてみえる看護婦さんに
苦しい体を拭いてもらう
パンツを変えてもらう

喜ぶ余裕などなく
なんで私は
こんなことになったんだろうでって
何度も何度も思いました

痛くて眠れない
痛くて息ができない
いつまで痛みが続くのか

ぞろぞろと沢山の医師に囲まれ
胸をさらけだして
研修医に傷を消毒してもらう
自分では怖くて傷口を直視できない

恥ずかしさを通り越して
気の毒そうにしている気配も伝わってきて
私もいたたまれない

気を紛らしてくれる物一つない
白い壁 白い天井を見つめる

(次回へつづく)

秋田・玉川温泉薬師様

投稿者プロフィール

こぶな ちふみ
こぶな ちふみ
20代で病を得て心の在り方が体に影響及ぼすことに氣づく。様々な養生法を学び実践するなか、震災を機に農業の道へ。外房での農園運営やカフェ立上げを経て栃木県那珂川町に移住、夫と共に「こぶな農園」をひらく。現在、野菜・風土・養生をテーマに農産物をいかしたメニューの開発や監修、メディアへのレシピ提供を行っています。月刊クーヨンにて2021年4月号より野菜と養生をテーマに連載がはじまりました。

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