第7話『栗おこわの奇跡』

このマガジンでは
今や生きる軸になっている
私と養生の出会い

そして
養生を軸に
私自身の在り方が
ひかられていくようすを
今に軸足をおきつつ
過去を振り返りながら綴っています

時を経た今はお陰様で
やりたいと感じることを生業にし
生活できるようになってきました

癌と出会うまでの私は自分が何を望んでいるのか
どうなりたいのか分からず彷徨うように生きていました

第7話は、癌の手術前夜の話
ちょっと可笑しな
出来事がきっかけで

大切なことに気づきました

今に繋がる在り方の原点であり
食や農にもつながっています

今回も少し重いですが
どうぞお付き合いくださいね


第7話『栗おこわの奇跡』

いよいよ手術日が近づいてきた

手術の数日前に
全身麻酔やらなんやら失敗したら
死ぬかもしれないけど
病院は一切責任とりませんよって
書類にサインした

人生そのものの契約のように感じる

手術の説明では
進行胃癌の摘出手術で
開けてみないと分からない点もあるらしい

とにかく
みぞおちから
臍下までの開腹するので
成功しても最低一ヶ月は絶食とのこと

あぁ私どうなるんだろう・・・
本当に死ぬのかもって考える

そしていよいよ手術前夜
運ばれてきた病食は「栗おこわ」
そうか今、秋なんだ

正直、食事を味わえるような心境でなく
食欲はほとんどなかったけれど
一口食べてみると

おいしい・・・

そういえばおこわも
栗も好きだったなと思い出す

これが人生最後の食事に
なるのかもしれないと思うと感慨深い

栗おこわをゆっくり味わいたくて
この味を覚えておきたくて
食事途中だったけれど
お手洗いへ

病室に戻って来たら・・・
「ぇえ!!!」
「栗おこわがない!!!」

手術の付き添いに来てた妹が
「お姉ちゃんいらないと思って食べちゃったよ」
とあっさり、ひと言

たった3口分の
栗おこわを食べたくて怒る私

しばらく憤慨していたら
なんだか可笑しくなってきた

死んでもいいと思ってたのに
「栗おこわ」のおかげで

私は
食べたいんだ
生きたいんだ と気づく

(次回へつづく)

投稿者プロフィール

小鮒ちふみ
小鮒ちふみ
20代で病を得て心の在り方が体に影響及ぼすことに氣づく。様々な養生法を学び実践するなか、震災を機に農業の道へ。外房での農園運営やカフェ立上げを経て栃木県那珂川町に移住、夫と共に「こぶな農園」をひらく。現在、野菜・風土・養生をテーマに農産物をいかしたメニューの開発や監修、メディアへのレシピ提供を行っています。月刊クーヨンにて2021年4月号より野菜と養生をテーマに連載がはじまりました。

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