ありのままの姿どうし、仲良くなりたい。家族になりたい。仕事をしたい。

子供のころ 可愛がっていた
セキセイインコが 逃げてしまった
軽く意思の疎通もできて
家族の一員のようだった 水色のピコマタ
黄色い羽の奥さんを迎えて
二羽で小さな籠のなかに住んでいました

ある日 野良猫が籠を倒して
二羽とも 大空へ逃げてしまった
偶然 私が公園で 奥さんを見つけて
捕まえて 家に帰ると
兄が 余計につらいと癇癪を起こして
奥さんを 逃してしまった
ピコマタには そんな魅力がありました

しばらくは 暗くなるまで ピコマタを探す日々 …
数週間たって 諦めたころ 朝のニュースで
飼われていた小鳥が 集団で暮らしている町が
隣の県にあることを知った
テレビ画面には 数百匹のインコや十姉妹 文鳥が
何か お喋りしながら ビルの屋上や電線にとまっている
大体が 陽に焼けた うすい茶系や緑系の小鳥
そのなかに1羽だけ 水色の美しいインコがいた

「ピコマタ。」

子供だったので 確信しました
しかし 子供ながらに
自分と一緒にいたころのピコマタとは
まとっているムードが全く違っていることに 気づいた

野生化した多くの小鳥と群れをなし
翻訳できない鳥語を話す ピコマタ
人間ではなく 知らない鳥たちと体を寄せ合っている
その仕草には 手乗りインコ時代の 甘い甘い
愛くるしさは ありませんでした

「あれが ほんとうのピコマタなんだ … 。」

そのときの衝撃を よく覚えています

淋しさ 喪失感 孤独感といった 胸の痛みの
さらに 奥の奥で起こっている 音のない細波
それは 誇らしさにも 似ていて
キラキラとしていて 鋭くて 勇敢な
はじめての気持ちでした

子供は 正直だ
痛々しいほどに

私は あのとき ありのままのピコマタと
家族になりたいと思ったのだ

野生の仲間が たくさんいる ピコマタ
きっと 人間より 鳥を信じているであろう ピコマタ
私が知らないことを たくさん知っているピコマタと
仲良くなりたい 友達になりたい
家族になりたい

そして その後の私の人生には
たくさんの別れがありました
ありのままの自分を生きてもらうために
そして 自分自身が正直に生きるために
たくさんの別れがあったように思います

そして コロナ禍
“当たり前”という鎖が はずれて
野生みを取り戻した人間が
巷に 増えているともききます
働きかたを始め 職業や肩書き 自己表現を
より自分らしいものに変えている人間が増えています

しかし これは 別れではない
ありのままの姿同士が 仲良くなるための
家族になるための 始まりだと
少なくとも 子供時代の私は 信じていたのだと思う

 

 

投稿者プロフィール

村井砂織
村井砂織
白砂糖やNa塩、食品添加物不使用の有機スパイスシロップ屋 "ほっぺた” 店主。ライター。エディター。家族の闘病生活や8年間のカフェ営業、幼少期からの体調不良の改善を通じて、体を温めること、食の大切さを実感。体を温めることで起こる自然治癒力、感情や記憶、自己愛の発露に興味を持っています。ピアノ弾き語り、散歩、うたたね、小鳥、日本酒が好き。チネイザン(氣内臓)勉強中。

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