<人は食 you are what you eat> 坂本龍一

<人は食 you are what you eat> 坂本龍一

人は食 you are what you eat

仕事でさまざまな場所へ旅をする。
旅先で多様な人との出会いがある。
仕事が良くできる者は人間的にも優れていることがほとんどだ。

 そして、そんな人々は老若男女を問わず、ほぼ間違いなく食にもどん欲なことが多い。どん欲というのは「あさましく食べる」ということでなく「食」に強い関心を持っているという意味。さまざまな国の美味しい食べ物に興味があり、おのずと異文化交流にもオープンで差異を尊重する。ボーダレスな人々と言ってもいいのかもしれない。「美味しい食べ物」とは「健康的な食材」でもあり、そのことが生物、環境、科学そして政治への関心にもつながる。

 カリフォルニア・バークレーに居る美しい人、アリス・ウォータースは「地産地消」と「グルメ」をつないだチェンジ・メーカーだ。70年代に彼女が立ち上げた「シェ・パニーズ」は「Eat Local, Act Local」というあたりまえのようで実に難しいレストラン運営を実践してきた。彼女のすばらしいところは挙げればきりがないが、何よりすばらしいのは「シェ・パニーズ」の食事はとんでもなく美味しいということだ。だから何度でも足を運びたくなる。そんな彼女のここ数年の実践は「食育」である。ミシェル・オバマ大統領夫人も賛同しアリスが提唱する「Edible School Yard」は全米に広がりを見せる。学校やコミュニティーで子供達と共に畑を耕し、収穫し、料理し、食卓を囲み、残りは再び堆肥として畑へという基本の循環を学ぶ手法だ。

 冒頭で述べた通り、「美味しいもの」を知ってしまった者はどん欲になる。それを追求し自分の口に入れるために。異文化をリスペクトし、差別や国境を乗り越えて、どこまでも「美味しいもの」を食べるために出かけたくなってしまうのだ。

 ちなみにアリス・ウォータースさんを筆頭に世界の名だたるシェフ達は日本食や日本の食材にも高い関心を示し、彼等もどん欲に日本食材を自分たちの料理に取り込んでいる。そんな日本のすばらしい「食」は安全でなくちゃいけない。

日本版エディブル・スクール・ヤードの推進が大切なことは言うまでもありません。

坂本龍一(音楽家)

※Edible Schoolyard Project
 カリフォルニア州バークレー市立マーティン・ルーサー・キングJr中学校で、1995年に始まったエディブル・スクールヤードは、食べものはどこから来るのかをガーデン、キッチンの授業を通して、必須科目と統合させながら行う教育手法で世界的に注目されています。地元レストラン「シェ・パニース」のオーナー、地産地消&スローフードの母と呼ばれるアリス・ウォータースが創立、彼女の呼びかけによって、学校と市民 が手を組み、大学研究者、ジャーナリスト、アーティスト、地元企業などが一丸となって支援し、学校改革を成し遂げたプロジェクトであり、その活動は今年20周年を迎えました。キング中学校のエディブル・スクールヤードの成功は 全米のみならず世界に影響を与え、全世界にそのネットワークが広がっています。
HP : edibleschoolyard.org

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