Edible × Schoolyard <Edible Schoolyard プロジェクトのエッセンス> 吉開俊也

Edible × Schoolyard <Edible Schoolyard プロジェクトのエッセンス> 吉開俊也

 私は昨年『Edible Schoolyard』(CHRONICLE)の日本語版、『エディブル・スクールヤード』(木耳社)という本を翻訳出版しました。著者であるアリス・ウォータースさんに会って、版権をもらってからすでに5年以上の年月が経っていました。アリスさんもさぞやきもきしていたと思いますが、いろいろな方のお力添えもあり、この本を世に送り出すことができました。
 この「Edible Schoolyard」というプロジェクトには、単なる食育という言葉では括りきれない、学校という場が求められる本質が表されています。それは物事の優劣やイデオロギーとは無縁の、「人間性」「好奇心」「コミュニケーション」の学びであり、それは「食べる」という行為と密接に結びついています。だからこそ、学校という公共の場で、すべての子どもたちにその機会を持ってもらうことに意味がある。こうした試みが日本でも広まっていくことを、一人の親としても心から願っています。

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編集者。企画プランナー。
 雑誌編集者を経て独立。雑誌社時代からのスローフード運動との関わりからアリス・ウォータースと知り合い、アメリカの食に注目。サンフランシスコベイエリアの食関連記事を雑誌、書籍等で発表する。2015年にアリス・ウォータースの『エディブル・スクールヤード』(木耳社)を翻訳出版。『アート・オブ・シンプルヤフード』(小学館)など関連書籍の編集にも関わる。またプランナーとして食関連のイベントや事業企画をプロデュースしている。

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「学校を食べちゃおう!」

(原題Edible Schoolyard)

 この作品は、サンフランシスコ近郊のとある中学校を舞台に、著者のアリス・ウォータース自身が発案し、彼女が先生や生徒、親たちと一緒に作り上げた「Edible Schoolyard」という学校菜園のメイキング・ストーリー的回想録である。
 著者は、カリフォルニア・キュイジーヌの始祖と言われるレストラン「シェ・パニース」のオーナーで、オーガニックや地産地消といったコンセプトを一般的なものにして世に広めた、アメリカでは知らない人がいない食のカリスマだ。著作もレシピ物を中心に多数あり、例えば代表作の「アート・オブ・シンプルフード」は日本語にも翻訳されるなど、世界的なベストセラーとなっているが、本著はそれらの中では異色の作品で、彼女が自らのライフワークとするアメリカの公立学校への食育と給食の導入がテーマである。アリスは本書を通じて、それが決して難しいことではなく、どんな学校でも可能なのだということを訴えかけている。
 実際に「Edible Schoolyard」は著者が中学校の校長に出会った1994年に始まったが、それから20年が経った現在では、そのノウハウもホームページを通じて広く公開され、アメリカ国内だけでなく世界中から高く評価される食農教育の模範的ケースとなっている。

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