「Organic Marketの作り方・おおいたのおはなし」

「Organic Marketの作り方・おおいたのおはなし」

 おおいたOrganic Marketは第二土曜日、月一回大分市の市街地で行われる、生産者が主役のマーケットです。化学合成農薬・化学肥料は一切使用せずに栽培されたもののみの出品になります。

 様々なマーケットを知り、たくさんの方に教えて頂いて開催が実現できました。「Organic Marketを自分のまちでもやってみたい」という方のなにがしかの、お役に立てたら嬉しいです。私の希望の一つに全都道府県でOrganic Marketが開催されるようになる、というものがあります。それぞれの地域のスタイルで作られたOrganic Marketが点から線になって面になるころにはきっといろいろな新しい文化や価値観が生まれ、新しい社会の在り方の共有認識になっているはずです。

おおいたOrganic Market「食べる人と作る人が出会う場所」
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 大分県は九州の中では海、山に恵まれた自然の恵み豊かな場所です。食べ物に関してはほとんど全ての食材が手に入ります。私は県庁所在地の大分市の市街地に実家があり、3.11の震災後、そこに帰ってきました。20年ぶりの故郷ではまるで浦島太郎のようでした。
 帰ってからすぐに出産し、子どもがアトピーになり、また私も子どものころに治ったはずのアトピーが再発し、ほぼ半年苦しみました。食べ物、特に野菜の力で治すしかない、と経験的に知っていたので有機野菜を探しました。ところが大分県の中で一番の「街」に住んでいるにも関わらずそんな野菜は販売していない状況。
 にもかかわらず、いろいろなイベントで本当に質の良いものを作り出している生産者の方にはいつも出会います。そして真摯で誠実な生き方そのものに惹かれるようになり、「紹介したい!」という思いが痛烈にわいてきました。それほど、魅力がある生産者の方に次々と出会いました。

 前職は教育関係のイベント会社に勤務しており、マーケットを開催するにあたっては「イベント」に関する全てのノウハウをつぎ込みました。
でも農業に関しては全くの素人です。そこで呆れられながらも、しつこく教えてもらい、何とか開催にこぎつけました。ただ、小学校の時に一年間学年単位で米作りを体験できたことが今にして思えばとても役立ちました。

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 おおいたOrganic Marketでは出店に際して規定を設けています。
 農産物は化学合成農薬・化学肥料不使用のもの加工品は化学調味料・化学的添加物・白砂糖不使用、手作りのものに限る水産物・畜産物に関しては薬品を使用していないもの、遺伝子組み換え作物でない飼料で育てられていること上記が主な規定です。農産物に関しては減農薬・低農薬のものは一切出店ができません。
 かなり厳しい規定になっていると思いますし、果樹栽培の方がそれを達成するには信じられないくらいの苦労と技術が必要です。それでもこの規定を変えずに続けるとそういう果樹栽培をしている方にも出会えることになりました。
 この場所では「こんな育て方をしている方もいる」「こんな生き方をしている人もいる」という紹介・提案ができたらと思っています。慣行栽培を否定したり、批判するつもりは一切ありません。またいかなる反対運動もしない、と決めています。マーケットの中では政治的・宗教に関するチラシなどの配布は一切できません。

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 主役は生産者と食べ物。
 食べ物を考えることから、様々な「暮らし」に広がっていくと確信しています。マーケットは2016年から4年目に突入しました。7月で44回目になります。お客様と関係者の方の協力、努力で一度も休むことなく毎月必ず実施してきました。

 農業の分野だけではなく、いろいろな方が関わってくださるようになりました。「世の中をもっとよくしたい」と真剣に考えて行動するいい年をした大人が案外たくさんいることが分かりました。反対運動はしませんが、気持ちは同じ方向を向いています。いざという時に「おおいたに暮らしていれば食べ物の心配をしなくてもよい」という備えができたらと思います。そういうシステム作りをやっていくのが私の役目です。

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同時に次世代につなぐ教育の場としてもマーケットが機能するように考えています。
根底には共に学び、知る喜びを分かち合うという「教育」というテーマが常にあります。
高校生の授業での研修や、ワークショップに関しては100回近く実施しました。
またお話し会も年に1回、考え抜いて実施しています。

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今はおおいたならではのスタイルを作っている途中です。課題は次々見つかって、試行錯誤は続きますが連載の途中でみなさんと一緒に共有できたらと思います。

生産者だけでなく、一緒に素晴らしい食材と生産者の方を紹介してくれる料理人の方の存在も欠かせません。
生産者・料理人・お客様が一体となってマーケットを作ってくれています。
魅力的な個人も紹介していけたらと思います。

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連載の予定は下記の通りです。順番が前後したり、一度にまとめることもありそうです。ご了承下さい。

・Organic Marketの作り方①地図を描こう。コンセプトワーク命!
 希望を描くこと 暮らす地域を知る・観察する・課題を見つける
・Organic Marketの作り方②イベントのノウハウ・スタイルの築き方
 要素・手順・展開・継続
・Organic Marketの作り方③生産者と関わる
 生き方を知ること
・Organic Marketの作り方④料理人と作る
 「私の料理は生産者がいればこそ」
・Organic Marketの作り方⑤学びを分かち合う
 ワークショップ・高校生との関わり
・Organic Marketの作り方⑥理想を実現する
 プロジェクト「おおいたのパンと小麦」学校給食のパンを有機・自然栽培の地粉に
 プロジェクト「おおいたのごはんいただきます」
 マーケットをイベントではなく日常に

小規模なローカルマーケットですが、全国的に向けて自慢したい「おいしい!!!」も詰め込んだ連載にできたらと少し欲張り気味です。
自慢ついでですが、このマーケットには「買い支え」という言葉はありません。
どの上下関係もなく消費者・生産者・主催者全てが平等な立場です。同じ方向を見ている仲間です。
そして一人残らず、間違いなく食いしん坊です。

文・写真 後藤亜紀子

akikogoto後藤亜紀子(ごとうあきこ)

作る人食べる人が出会う場所として2013年12月よりおおいたOrganic Market 開催。
マーケットのアンテナショップ豊yutaka oita souvenirsを運営。マーケットで出会った生産者と一緒に生み出した「ここにしかないもの」を大切にオリジナル商品の開発を手掛ける。給食のパンを県産の有機・自然栽培の地粉の添加物なしのパンにする「おおいたのパンと小麦プロジェクト」も継続中。生産の現場を知る、食べ物を生かすワークショップも随時開催。大分は山も川も海も、そして人も豊かな場所。おおいたで暮らす人がその宝に気が付いて大切にすることから全ては始まると考え、オーガニックを大分の日常にすべく活動中。「おおいたで暮らせば、安心できる食べ物があり、飢えることがない。」そんな場所になるためのシステム作りを急いでいます。
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